
身近な方が亡くなると、故人(被相続人)のご家族やご親族など、遺された一定の方が相続人となり、被相続人の財産を引き継ぐことになりますが、引き継ぐためには様々な手続きを進めなければなりません。
相続人や相続財産の調査、遺産分割方針の話し合い(遺産分割協議)、取得財産の名義変更など、これら相続に伴うさまざまな手続きを総称して「相続手続き」と呼びます。
こちらでは、相続手続きの全体像を確認していきましょう。
相続手続きの一連の流れ
相続手続きは財産を誰が取得するのかを決めて終わりではありません。様々な資料の取得や調査、相続人同士での話し合いなど、一連の流れに沿って順に進めていくことが大切です。それぞれの手続きを滞りなく進めるためにも、まずは相続手続きの流れを確認しておきましょう。
1.遺言書の確認
まずは被相続人が生前に遺言書を遺していていないかどうかを確認しましょう。遺言書がある場合、遺言書は故人の最後の意思として手続き上優先され、その内容に従って遺産を分割し、手続きを進めていくことになります。
遺言書がない場合には、以下の順に手続きを進めましょう。
2.戸籍収集と相続人調査、相続関係説明図の作成
被相続人が遺した財産を引き継ぐ権利を持つ人を「相続人」と呼びます。相続が始まったら、まずは誰が相続人になるのかを確認しましょう。相続人の調査は戸籍の収集を通して行います。
誰が相続人にあたるのかを調べるために、被相続人の出生から死亡までの一連の(全ての)戸籍を取得します。この戸籍から相続人となる配偶者や子、両親・祖父母や兄弟姉妹がいるかどうかを確認することができますが、相続人には相続権が認められる「相続順位」が設けられていますので注意が必要です。
相続人となる方については、現在の戸籍や住所関係書類も取得しておきましょう。
相続関係を示す戸籍謄本は複数枚に及ぶことが一般的です。戸籍収集が完了したら、被相続人や相続人同士の関係性を1枚にまとめた「相続関係説明図」も忘れずに作成しておきましょう。
相続人の調査はその後の手続きを進めるうえでも不可欠ですので、ご自身でお手続きを進める場合には早めに戸籍収集に取りかかるようにしましょう。
3.相続財産の調査、相続財産目録の作成
相続人の確認と併せて、被相続人がどのような財産を遺していたのかも確認しましょう。財産の内容は預貯金や株式などの金融資産から、ご自宅などの不動産まで多岐に渡ります。これらの調査は、取引先の金融機関や法務局等などから財産の根拠となる書面を取得して進めていきます。
また、相続財産の対象は資産価値のある「プラスの財産」だけではありません。借金や未払金、ローンなども相続の対象となる「マイナスの財産」です。忘れずに調査をするようにしましょう。
相続財産の調査をきちんと行わなかった結果、「遺産分割が終わったあとに多額の負債が見つかった」となってしまうことも少なくありません。引き継いだマイナスの財産については、ご自身が支払い義務を負うことになってしまいますので、相続財産調査は正確に行うことが大切です。
相続財産に関する資料も多岐に渡ります。財産調査が完了したら、必要情報を1枚にまとめた「相続財産目録」も作成しておきましょう。
4.相続方法の決定
相続人と相続財産の調査が完了したら、財産を相続するのかどうか、どのように相続するのかと決めましょう。財産調査を行った結果、多額のマイナスの財産が発覚した場合などには、相続人それぞれの意思で相続権を放棄することもできます。
相続財産に関する一切の権利を拒否することを「相続放棄」といいますが、相続放棄を選択する場合は相続の開始から3か月以内に家庭裁判所で申述の手続きをする必要があります。
また、プラスの財産を取得し、その範囲内でマイナス財産も相続する「限定承認」を選択することも可能です。この場合は、相続の開始から3か月以内に「相続人全員で」家庭裁判所で申述の手続きをする必要があります。
なお、プラス・マイナスを問わず相続する「単純承認」を選択する場合については特別な手続きは必要ありません。
5.遺産分割協議の実施
実際に誰がどの財産を受け取るのかが決まったら、相続人全員で遺産分割協議を実施します。遺産分割協議とは、被相続人の財産について、誰がどの財産をどのように取得するかを決定する話し合いで、遺産分割方法について相続人全員の承認を得ることで成立します。
協議が成立したら、協議の内容を書面としてまとめた「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名のうえ、実印で捺印します。預金口座の解約手続きや、不動産の名義変更を行う際、金融機関や法務局は相続人全員の署名・捺印のある遺産分割協議書がなければ、原則対応してくれません。
万が一、相続人同士の意見が対立し、遺産分割協議が成立しない場合には、家庭裁判所で行う遺産分割調停によって解決を図ることになります。
6.相続税の申告と納付
相続財産の総額が、相続税法に定められた基礎控除額を越える場合、相続税の申告と納税が必要となります。相続税申告には期限があり、相続の開始を知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内に、税務署に申告書を提出し、納税まで終わらせなければなりません。
相続税の計算は非常に複雑で専門家によっても納税額の計算結果が異なる場合があるほどです。期限内に正しく申告納税できなかった場合にはペナルティとして追徴課税が発生する場合もあります。
御坊・田辺相続遺言相談センターでは、相続税申告に精通した税理士とも連携し、相続税申告を伴う相続手続きに対応しております。間違いのない相続税申告を実現するためにも、まずは一度ご相談ください。
7.預金口座の解約と不動産名義変更(相続登記)
作成した遺産分割協議書をもとに、取得する財産の種類に応じて名義変更等の手続きを行います。
預貯金を相続する場合は、被相続人名義の口座を解約しましょう。金融機関所定の書類のほか、戸籍謄本や遺産分割協議書、相続人全員の印鑑登録証明書などの書類が必要になります。
株式等の有価証券を相続する場合には、証券会社で株式の移管手続きを行いましょう。未受領の配当金がある場合もありますので、信託銀行等で未受領配当金の受領手続きも忘れずに行う必要があります。
不動産については、法務局に対し、名義を被相続人から取得者に変更する相続登記を申請しましょう。相続登記の申請は、2024年4月より義務化されており、定められた期限内に申請を行わなかった場合は罰則の対象となることもあります。各種財産の名義変更手続きは速やかに行うようにしましょう。
相続手続きは後回しにせず早めの対応を
身近な方が亡くなると、相続に留まらず様々な手続きが発生します。大切な方を亡くされた心労も大きなものになります。相続が発生したものの、「忙しくてなかなか手がつけられない」、「日常生活に支障があるものでもないし…」と、相続手続きを後回しにしてしまう方も少なくありません。
しかし、相続手続きが長期に渡ると、さまざまな相続トラブルに発展する恐れもあります。例えば、知らないうちに一部の相続人が勝手に預貯金を使い込んでしまうケースや、不動産を相続するはずの人が相続登記申請を行う前に亡くなってしまい、相続関係が複雑になってしまうケースなども、迅速に対応すれば防げることが一般的です。
加えて、トラブルに発展はしなくとも、相続税申告や相続登記のように期限が設けられている手続きもあります。後回しにして期限を超過してしまうと、罰則の対象となり損をしてしまうこともありますので、やはり早めに取りかかることが大切です。
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