被相続人が亡くなったあと、被相続人の所有していた財産は相続人の共有財産になります。その共有状態を解消し、それぞれの相続人が自由に扱えるようにするためには、新たな所有者を決めなくてはいけません。
相続財産をどのように分けるのか、どの相続人がどの遺産をどのように取得するのかを決める話し合いが「遺産分割協議」です。
こちらでは、遺産分割協議の進め方とポイントを確認していきましょう。
遺産分割協議に向けた3ステップ
遺産分割協議は下記の3ステップで進めていきます。
- 遺言書の有無を確認する
- 相続人と相続財産を調査する
- 遺産分割協議を行う
1.遺言書の有無を確認する
遺産分割の方針を示した遺言書が遺されている場合は、故人の希望が記された遺言書の通りに遺産を分けることになります。その場合は遺産分割協議を行う必要はありません。故人の希望が書かれた遺言書は故人が生前最後に遺した意志です。まず初めに、遺言書の有無を確認する事が不可欠です。
2.相続人・相続財産の調査
相続人と財産内容が明確になっていなければ遺産分割協議を行う事はできません。
まずは戸籍謄本の収集を行い、すべての相続人を確定させましょう。相続人のなかには、後述するように単独では遺産分割協議に参加できない方もいます。その場合には、遺産分割協議に向けてさらに手続きを行う必要があります。
また、相続財産調査も忘れずに行いましょう。金融機関や法務局等から資料を取り寄せて遺産の把握を行う事になりますが、資産価値のあるプラスの財産(不動産や預貯金など)だけではなく、借金やローンといった負の相続財産の把握もしておかなければならない点には注意が必要です。
3.遺産分割協議
相続人や相続財産の調査がきちんと終わったタイミングでやっと遺産分割協議を行う事ができます。
遺産分割協議のなかで、誰がどの相続財産をどのように引き継ぐかを決めます。遺産分割協議は相続人全員が参加し、全員が分割内容に合意しなければ成立しません。そのため、相続人をあらかじめ明らかにしておく必要があります。
相続人全員の合意が得られて協議がまとまれば、全員で合意した内容を基に「遺産分割協議書」を作成します。「遺産分割協議書」に相続人全員が署名と実印での押印をすれば協議は完了です。
協議書に記載のない財産があとから見つかった場合、その財産については改めて遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成し、相続人全員で署名・捺印しなければなりません。相続財産も漏れなく調査しておきましょう。
遺産分割協議を行う中で、財産がうまく分けられない、どのように分ければよいかわからないといったケースも少なくなくありません。
財産をそのままの形で受け継ぐ方法(現物分割)が一番シンプルではありますが、それ以外にも分割方法があるので参考までにご紹介いたします。
- 現物分割:遺産をそのままの形(自宅は自宅のままなど)で分割する
- 換価分割:不動産などの財産を売却処分し、現金化したうえで分割する
- 代償分割:特定の相続人が遺産を取得する代わりに、その他の相続人に代償金を支払う
遺産分割協議の注意点
遺産分割協議に参加できない相続人(未成年・認知症などの相続人)
未成年者や認知症の方など、法律上判断能力が不十分とされ、単独で法律行為を行うことが認められない方を「制限行為能力者」と呼びます。制限行為能力者は、法律行為である遺産分割協議に単独で参加することができません。その場合には、本人に代わって親権者や後見人といった代理人が分割協議に参加することになります。
なお、親権者等が同じく相続人にあたる場合は、利益相反にあたるため代理人として遺産分割協議に参加することができません。その場合には家庭裁判所で行う特別代理人の選任が別途必要となりますので覚えておきましょう。
相続人全員の合意が取れていない場合
当然の事ながら、遺産分割協議は相続人全員の合意を得なければ無効となります。前述のように未成年者や認知症の方がいるにも関わらず代理人を立てなかった場合も、同様に無効です。
相続人が自分たちだけだという思い込みから分割協議前の戸籍収集を怠ってしまい、あとから新たな相続人が見つかったというケースもあります。こういった事態が起こらないように、遺産分割協議を行う前にはすべての戸籍を揃えて、相続人を確定しておく事が大切です。
御坊・田辺相続遺言相談センターでは、各分野の専門家と連携し、相続人調査や相続税申告といったお手続きに関してスムーズに進められるよう体制を整えています。御坊・田辺での相続のお悩みは、御坊・田辺相続遺言相談センターまでお気軽にご相談ください。ご相談は初回完全無料から丁寧にお伺いし、最適なサポートをご提案させていただきます。